コラム

2009/09/18

新米記者の取材顛末(東京・MI)


▼グループホームを運営する福祉団体が、施設を増設するという話を聞き取材へ向かった。聞き漏らしのないよう、質問項目を頭の中で繰り返しながら車を走らせる

▼笑顔で筆者を迎える施設の理事長と挨拶を終えて話を切り出す。「認知症高齢者の介護施設として、近く新設予定の施設ではバリアフリーなど…」。理事長は話を切った「ここは精神障害の方が利用する施設なんですよ」。筆者の額を流れる汗を見て、理事長はクーラーの温度を下げながら「グループホームと聞いてそのような先入観を持つ方は多いですよ」

▼筆者は取材前、密かに聞かなければいけないことを綿密に考え、万全の体制を整えたつもりだった。新設する目的、現在の進捗、施設規模、設計はどこで、工期は、予算は、来年度以降の計画は…。グループホームの運営と聞き勝手に認知症高齢者が団体で生活する施設だと決めつけていた

▼理事長は続けた「事実、精神障害者のグループホームは数が少ないです、認識も低い。設立時は近隣住民の方から反対運動もありました。ただ、それはしょうがないと思います。現状を知らないんだから、知ってもらううしかないんですから」

▼理解と協力を得て、もっか設立10年。「施設は個人の財産になるものではない、利用者の幸せのためにあるもの」同施設理事は世襲性ではない。決して楽とはいえない経営状況の中、必要とする方のため施設を造る「支援者の寄附金や国の補助、施設利用者の負担金を1円もムダにはできない状況だよ、うちは。誰も読みたくない記事になっちゃうよ」と笑顔で話してくれたが、心安まる思いがした。(東京・MI)

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