コラム

2009/09/24

7歳からの公共事業(新潟・HT)


▼「パパは新幹線を作っているの?」知人の子供、7歳の航太君に聞かれ「そうだ」と答えた。ラジオ体操よりも早く出かけるパパの仕事が何なのか、よく知らなかった様子で、少し驚いた表情とともに、笑みを浮かべ、どこか満足そうな顔を見せた。もちろん、パパは、新幹線の車両を作っているわけではない

▼筆者の知人であり、航太君パパは、現在、工事が進められる北陸新幹線の橋梁工事の現場で、鳶職人として働いている。延伸開業区間の約228kmから見れば、ほんの1区間に過ぎないかもしれないが、紛れもなく新幹線の建設現場で働いている。だから、自信を持って「お前のパパは、新幹線を作っている」と答えた

▼航太君からの質問に対し「北陸新幹線」「パパの仕事」のことから、調子に乗って、7歳には到底理解できないであろう「工事認可」や「建設負担金」まで「もういい」と言われるまで、懇々と説明してやったという

▼最初に、航太くんが見せた表情は、以前に取材した「夏休み工事現場見学会」で見た小学生の顔と重なって見えた。担当者からの「工事のお話」は、上の空で聞いていたのに、重機の試乗体験では、まるで、施工中かのような真剣な顔をする。そして、大きな重機を動かした後は、満足げに航太君と同じ表情をしていた

▼公共事業の持つ意義や目的は、確かに重要であるが、遠い将来の建設業界を担う人材にとっては無意識だろう。ただ、大きな重機を動かすことや大きな物を作ること、それを作っているパパが大きくカッコ良く見えるのだ。意外と建設業界の魅力の本質は、幼児期に確立するのかもしれない。(新潟・HT)

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