コラム

2009/09/28

道路整備は少子化対策(新潟・KK)


▼政権与党となった民主党は、21年度の公共事業費をマニフェスト実現のために1・3兆円の節約を掲げた。現在は大規模ダムの建設中止を巡る問題がクローズアップされているが、いずれは道路整備の問題が大きな議論になるだろう

▼道路整備のあり方といえば記憶に新しいのは、国土交通省が実施した費用便益比(B/C)点検の結果、全国18路線で今年度事業費の執行が一時凍結された問題。大半は「事業継続が妥当」とする事業評価監視委員会からの意見を踏まえ、凍結は解除されたが、民主党政権誕生に伴い、この問題が再燃する可能性がある

▼新潟県内で凍結対象となった2路線のうち、山形県境にある岩船郡関川村の国道113号鷹ノ巣道路では、事業再開と早期完成に向け、緊急総決起大会が開かれた。その際、一人の主婦が訴えた切実な悩みが今でも印象に残っている

▼山形県置賜郡小国町在住のその主婦は現在妊娠中で、3人目の子供を出産する予定であるが、産婦人科医不足から町内で出産できる病院がなくなった。そのため鷹ノ巣道路を使い新潟県内の病院まで車で通っているが、同路線の工事中断の報を受け「目の前が真っ暗になった」という

▼そこで「どんな天候でも、時間でも安心して走行できる道路が妊婦には必要。大げさではなく、一分一秒が生死を分ける場合がある」と訴えた。医者もいない、道路も造らない中で、出産が危ぶまれる。道路の財源を減らすならば、その分を医師確保に充てて欲しいと言った。関係ないようだが、道路整備の問題には少子化対策も関わっている。民主党政権には、この視点も注目したい。(新潟・KK)

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