コラム

2009/10/13

橋渡し役の育成を(新潟・CS)


▼「飲食店で出された味のしない硬い肉に困り、店員に塩を頼んだが、いっこうに動こうとしない。何度も頼み、ようやく、テーブルにドンッと置いていった」。バレーボール選手として世界を巡っていた川合俊一さんの、旧ソビエト連邦でのエピソード。通訳が「この国にはサービスという概念がありません」とひと言

▼高速道路のお披露目説明会。真新しい舗装を眺めて発注者の一人がつぶやいた。「この舗装の小さなすきま一つとっても、計算しつくされた配合でできている」。水はけや振動、安全性を熟慮した結晶。「風当たりは強いが、コストを抑えながらの技術の向上には本当に頭が下がる。利用者は知らないと思うけど」

▼異国を旅して初めて、習慣の違いを新鮮に感じるもの。質の高いサービスに慣れてしまうと、享受している実感に乏しくなることはままある。接点を意識しづらい場合や、知らなければなおのこと

▼「(建設業界の)弱点は説明力不足」。サイエンスプロデューサーの米村でんじろうさんが、土木学会誌のインタビューで指摘していた。テレビでおなじみだが、科学をおもしろく伝えるには…と突き詰めた結果、教諭を辞めて今のスタイルを築いた。「おもしろく伝える場をつくり、専門家と一般の人のギャップを埋めることだ」

▼日常生活を足元から支える建設業界であるのに、市民の視点からは中身が見えにくい。官民ともにイメージアップに努めるも、一時的で道半ばの感が否めない。表現力を備えた橋渡しのできる機関や人材をいかに育てるか。先ずは時代の風を読むために、目を凝らし、耳を澄ませたい。(新潟・CS)

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