コラム

2009/11/30

レベルアップの代替物とは(山梨・RA)


▼「サンシャイン牧場」という、インターネットを通じて友人らと畑を耕作するゲームにはまっている。畑を耕作し、作物を収穫することによってレベルを上げるだけのシンプルなゲームだ。レベルが上がれば耕作できる土地が増えたり、育てられる農作物が増える

▼ただし、このゲームの面白い部分はそこではない。それは友人同士で収穫やレベルを競い合ったり、他人の畑に忍び込んで作物にイタズラしたり、あまつさえ収穫物を横取りできたりもできる部分などが実に面白い。つまり、単なる農作業ではなく競争性を持った農作業が疑似体験できるのだ

▼最近、教育の現場では競争して順位をつける機会が無くなりつつあるという。筆者の学生時代でも、中間テストなどの成績を公表することはほとんど無かったのだが、今は徒競走や運動会などの「順位がつくことが当たり前だったもの」からも競争性が無くなりつつあるという

▼勝負や競争にまつわる話で、ヨーロッパの紳士の話がある。紳士は、ギャンブルに負けた時にも平静な心を保っていられるように、カジノで多くの勝負を味わうのだという。人生の岐路や窮地に立った時のために、彼らは多くの勝負を体験し、経験を積み重ねるのだ。そしてかつては学校という場も、それを学ぶ場所の一つだった

▼しかし、これからの教育の現場が競争をしない場所へと変わってゆくのだとすれば、レベルアップすることへの快感に代わる新しい価値観を見つけていかねばならない。きょうもせっせと農場を耕し、レベルアップの代わりに寝不足をわずらう筆者のような人をなくすために。(山梨・RA)

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