コラム

2009/11/16

大切なこと・血と汗(山梨・TT)


▼筆者が1年に1度くらい挨拶に出向く私立大学で、何やら新たな施設の建設計画の噂が流れた。担当課に電話を入れたところ、普段なかなか連絡の取れない担当者から「建てるよ。来る?」と一言。そのまま取材に向かった

▼いつも通される会議室は、ここ数年の間に建設された大学施設を様々な方向から撮影した航空写真で埋め尽くされ、様変わりしていた

▼取材も終わりにさしかかる頃、担当者は写真を見ながら「ここに写っている施設はね、私が地権者との用地交渉から建設まで全てに係わり完成した施設なんだよ」「大型施設は迷惑施設でしかない。特に利害関係が無ければ尚更のこと。建設後にも頻繁に近隣へ出向き交流を深めることを心掛けている。近隣の住民で私のことを知らない人は居ないと思う」と話す

▼その昔、一軒の家を建てるのに木材を自分で育て、近所住民の協力により資材運びから完成までを行う。工程にある土壁作りは、藁と土を練るときに出る人間の汗で発酵し、立派な壁になると聞いたことがある。こうして、助け合いながら建てることから、自分の家だけのことででなく自然と周りを受け入れ、思い遣りの精神が芽生える

▼最後に担当者は「人間には歴史と血と汗がある。これらを忘れなければ、誠意が伝わりスムーズに進む。いつか施設も受入られ、大学自体も地域に密着してくれる」と夢を話してくれた

▼政権が変わってからの毎日のニュースは「削減・中止」の文字ばかり。どうかここでも、血を通わせ、汗を流し進めていただきたい。きっと今よりも、スムーズに受け入れられる打開策につながる新たな政策出てくるだろう。(山梨・TT)

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