コラム

2009/11/17

忍耐こそ最大のエコ(茨城・KS)


▼暗闇の中、90時間も救助を待ち続けた第一幸福丸の乗組員。就寝中に転覆したため、逃げ遅れて寝室に取り残された3人だった。その中の若手乗組員は、我慢できず3日目に脱出を試みようとしたが、他のベテラン2人が制止した。奇跡の生還を果たせたのは、まさに強靭な心と身体の忍耐によるものだ

▼唐突だが、?忍耐?で思いついたのがエコ。昨今はエコカー減税やエコポイント、太陽光発電などの言葉が実に頻繁に飛び交うエコブーム。エコを冠した最新の商品を買い集めることが本当にエコなのか。今までのモノを、愛着を持って使い続けることこそがエコではないのか

▼洋服について言えば、デザインを過度に重視して大量に安く販売し、短期間で買い換えることが前提の流行モノより、多少なりとも値が張っても天然素材で、余計な装飾や機能がないものが丈夫で強く、長い間耐え忍んでくれる。結果として費用対効果が高い

▼また家屋について言えば、日本の住宅寿命は25年から30年だが、アメリカのそれは100年、イギリスは驚きの140年である。ライフスタイルに合わなくなったらすぐ建て替える日本に対し、欧米では幾度となくリフォームを加えて、愛着を持って共に長く暮らしていく。結果として環境への負荷を減らすことにもなる

▼何でも簡単に手に入る、恵まれたこの時代。全てのモノ一つひとつにありがたみを感じて、そのモノと耐え忍んで生活していくこと。伝統を重んじ、シンプルなものを大切にし、末永く愛していくこと。筆者は、欧米では当たり前のこの心こそが最大のエコなのではないかと思っている。(茨城・KS)

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