コラム

2009/11/20

すがすがしい敗者であれ(茨城・HS)


▼ことしのナビスコカップはFC東京の優勝で幕が閉じた。サッカーに興味のない人にはあまり馴染みがないかもしれないが、平成5年のJリーグ開幕の1年前から始まった歴史のある大会だ。優勝賞金の1億円を目指し、初戦から決勝戦まで白熱した試合が繰り広げられた

▼ところが、FC東京の勝利で終わったその決勝戦後、なんともばつの悪い展開が待っていた。敗退したチームの選手たちは悔しさからかふてくされ、せっかく贈られたメダルもすぐに外してしまい、中にはガムを噛んだまま表彰台に上がった選手もいた

▼負けて悔しい気持ちは分かる。しかし、テレビ中継を含めた大観衆の前でこの態度はいただけない。プレイ中は敵同士でも、試合が終われば互いの健闘を称え合う。それがスポーツ精神であり醍醐味では。特にサッカーは紳士のスポーツとも言われ、オフサイドといういわば非紳士的とされる行為を禁止するルールもある

▼確かに、負けた直後に気持ちを切り替えるのは難しい。今まで積み重ねてきたものが否定され、水の泡になってしまうのだから。ただ、心が切れず、「次こそは」という気持ちさえ忘れなければ、その努力がゼロになることは決してないはず

▼負けたくない気持ちは皆同じ。問題は今日の負けをどう捉えるかだ。負けた悔しさを引きずったままでいるか、気持ちを切り替えてそれをバネにするか。時計の針を戻せないのと同じで、終わってしまったことはもう変えられない。今日は負けたが次は必ず勝ってみせると胸を張る。そんなすがすがしい敗者こそが、明日の勝者へとつながるのではないだろうか。(茨城・HS)

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