コラム

2009/12/28

小沢幹事長の道徳基準(東京・JI)


▼心理学者コールバーグの道徳性発達理論によると、人間の道徳性には6段階あるという。第1段階は罰を恐れての服従、第2段階は快楽主義で、どちらも損得だけを考えるもの。第3段階は周囲に「善い」と認められることが基準で、第4段階では規則を尊重する。正論で相手を追い込むのが、このレベルだ

▼第5段階は、社会的公平性を意識するものとなる。第6段階は自分の良心に従い、人間の尊厳を尊重するというレベル。ブッダや孔子が代表例だという。この第6段階には、5人に1人が到達できるらしい

▼「短期的な損得だけで国会議員を選べば、最後に損をするのは国民である」。民主党の小沢一郎幹事長が著書『小沢主義』(オザワイズム)でつづった文章だ。まさに道徳レベル第2段階とも言える「短期的な損得」とは、同書では一時的な雇用確保や公共投資を指している

▼小沢氏は「選挙民が政治家に対して、地元への利益誘導や安直な見返りしか期待しなければ、その程度の政治家しか選ばれない」とも書く。こうした意識で選ばれた政治家によって「日本の政治が貧困だとしたら、その責任は他でもない国民自身にある」と述べている

▼公共投資の大幅な削減を打ち出す民主党。政府は前原誠司国土交通大臣をはじめ各大臣を中心に「ムダ排除」を推し進めている。その政治の舞台で小沢氏の存在が見え隠れしている。彼の発言や行動が民主党の動向に影響し、政治が揺れる。彼の道徳基準は「公平」か「良心」か。著書では人々に「自分の信念に従って動け」とある。彼の信念がどのようなものか、今後も注目である。(東京・JI)

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