コラム

2010/01/11

「二重」で乗り切る(東京・UT)


▼「人口減少」「少子高齢化」「莫大な財政赤字」。まる暗記してしまった人も多いだろう。前原

誠司国土交通大臣が頻繁に唱えている、日本の三重苦である。この状況下で持続可能な社会にするた

めには、公共事業を減らさざるを得ず、その分を社会保障などに充てるという論法

 

▼そうすると、新規の公共事業が減って維持管理が増える。ゼネコンは海外に行くべき、地域建設

業は腹を決めて続けるか、農林業などに転職するかと展開する。その考えの是非はともかくとして、

なるほど論旨はわかりやすい。民主党が先の衆議院選挙で掲げた「コンクリートから人へ」のキャッ

チコピーとも合致する

 

▼昨年12月17日、与党3党の幹事長から鳩山首相へ提出された22年度予算編成の重点要望。そこに

は「国土の均衡ある発展」「整備新幹線の建設を着実に遂行」「道路網の整備」「スーパー中枢港湾

を、全国的に拡張し整備」など、公共事業の重要性をこれでもかと強調している。これを見た(聞い

た)瞬間の、前原大臣の心象風景はいかばかりだっただろう

 

▼政府は、マニフェストの弾力的な見直しを打ち出している。就任直後に、マニフェストに書いて

あるからと八ッ場ダムの中止を瞬間的に宣言した前原大臣の言動との整合性はどうだろう。八ッ場は

その後、マニフェストの方針は堅持しつつも、予断を持たずに再検証することになった

 

▼すべてが「二重」に見えてしまうのは、筆者だけだろうか。これでは国の出先機関原則廃止など

も、どうなるかわからない。国道管理などで、実際は重なっていないのに「二重行政」とネーミング

し、盛り上がっていた頃がなつかしい。(東京・UT)

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