コラム

2010/01/25

肩身の狭い喫煙者の悩み(東京・JI)


▼来年度予算の政府案で公共事業費18%減が示された。あまりの大幅削減に気が滅入るばかりだが、しかし来年度の不安はこれだけではない。喫煙者として重要な問題がタバコの値上げだ。10月から1本あたり5円も価格が上昇。現在300円の商品ならば400円にまで跳ね上がる

▼税制改正大綱では、タバコ税について「安易な財源確保策として用いられてきた。このようなあり方は望ましくない」とある。賛同して思わず拍手を送りたくなるが、しかし文章は「健康の観点から、消費抑制のため税率を引き上げる必要がある」と続く。喫煙者の気持ちを一旦は上げておいて下げる記述は、腹立たしいことこの上ない。正直に「国家財政安定のために喫煙者の皆さんよろしく頼む」と書いてくれれば、まだ納得できるのだが

▼こうもやすやすと値上げされるのは、タバコに対する嫌悪感が社会的に広がっているためだ。価格上昇は非喫煙者に影響がないため、スムーズに導入されてしまう。タバコが嫌われる最大の理由は、煙が臭うことと喫煙者のマナーの悪さだろう

▼飲食店では喫煙者と非喫煙者の席を分けるようになった。街では路上喫煙禁止区域が設けられるようになった。しかし吸い歩きやポイ捨ては未だになくならない。これでは嫌われて当然であり、改善されないならば、いずれは社会から排除されてしまうだろう

▼政府の目論見どおり税収が増えるかどうかは、値上げに伴う禁煙者数で決まりそうだ。自分の小遣いが減ってでも変わらず吸い続けるか、それとも禁煙するべきか。いずれにしても、喫煙者にとっては頭の痛い話である。(東京・JI)

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