コラム

2010/02/04

ネット依存の在所(山梨・RA)


▼急にパソコンが不調になり、インターネットに接続できなくなってしまった。困るには困るが、無くても大して支障は無いと思い、数日間の修理に出した。しかし、とんでもない思い違いをしていた。パソコンが無いだけで、筆者は何もできなくなってしまったのだ

▼テレビコマーシャルを見ても、新聞広告を見ても、そして我が社の記事を見ても「詳細はホームページで」の文字列を目にしないことは珍しい時代になった

▼東京で一人暮らしをしていた頃、インターネットに触っていないと自分が社会から取り残されたような気持ちになり、不安で仕方がなくなることがよくあった。俗に言う「インターネット依存症」という病気かと思い、しばらくパソコンに触らないようにしていたのだが、そうなると今度は携帯電話でその不安を紛らわすようになってしまう。結局インターネットから離れることはできなかった

▼ところが、心理学などに精通する専門家の間では「インターネット依存症などという病気は無い」という通説がある。それなら実際に不安になるのは何故か。実はインターネットではなく、人に依存しているのだという。ネット上に溢れる情報が相手ではなく、その情報を共有している生きた人間の気配が恋しくて依存してしまう

▼人は社会に頼らずに生きていくことはできない。だからこそ、社会から切り離されたと感じた時に不安を感じ、人とのつながりを求める。どんな時でも常に社会の隣にしか居られない私たちが、ネットに依存し、孤立化しているように見えるのは、社会そのものもネットにのめり込みかけている兆しなのかもしれない。(山梨・RA)

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