コラム

2010/03/31

建設業界の保存食は(群馬・HM)


▼知人から金沢の土産「へしこ」なるものを頂いた。サバをぬか漬けにしたもので、郷土料理の1つ。かなりしょっぱい、と言うので水でよく洗ってから、そのまま切って食べてみた。かなり固めの歯ごたえで、ぬか独特のにおいとしょっぱさの後にサバの味がほんのり残る。濃いチーズのようでもある

▼次は焼いて食べてみた。生の時の歯ごたえがうそのようで、サクサクッと実に柔らかい。干物のような食感を想像していたのでびっくりした。焼いた分香りも高く、うまい。これは確かに向こうのキリッとした日本酒が合いそうだ

▼雪国の冬は厳しい。そのため「へしこ」のような保存食が発達しているのだろう。漬け物や干物は食材や漬け方などで実に多くの種類があり、一般的にもなっている。ただ保てばいい訳ではない。せっかく食べるのだから、できるだけうまい方がいい。工夫を重ねた保存食にはおいしいものが多いと思う

▼「春の来ない冬はない」と最近はよく耳にする。不況はいつまでも続かない、だからがんばろう、と言っている。確かにそれはその通りだ。嘆いてばかりいても仕方がないし、厳しさを知りながら、ある程度の楽観性も必要だろう

▼しかし建設業が今置かれている状態は、通常の「冬」ではない。何年間もの苦しい時代があり、疲弊しきっている上での「冬」である。大飢饉の後で保存食もない冬と言える。その状態で、いつ来るのか分からない春を待っている。その苦しさは分かってほしいと思う。今業界が一番求めている「保存食」は、その現状に対する周辺からの「理解」ではないだろうか。(群馬・HM)

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