コラム

2010/03/05

観光分野への新規参入(東京・JI)


▼総務省の調査によると、建設業の就業者数が昨年1年間で20万人も減少したという。これだけ建設の仕事が減れば無理もないだろう。実際、昨年の建設経済は賛嘆たるものだ。(社)日本建設業団体連合会の会員49社の受注総額は前年比29・1%減。国土交通省の発表によると新設住宅着工戸数も27・9%減という状況だった

▼迎える22年度の当初予算政府案は、公共事業費18・3%削減である。建設業の新分野進出は以前から叫ばれていたが、いよいよ本気で考えるときが来たのかもしれない。政府は環境・エネルギー、医療・介護、農林水産業などの分野で雇用を創出するという。そして観光においても需要拡大に取り組む考えだ

▼昨年末に閣議決定した新成長戦略の基本方針では、10年後までに訪日外国人2500万人、新規雇用56万人を目標としている。これによる経済波及効果は10兆円だという。外国人観光客の増加も良いのだが、国内旅行をもっと増やす施策が欲しいところだ

▼日本の各地域には、まだまだ特有の伝統文化が残っている。先日取材した地域活性化シンポジウムでは、地域独自の文化を押し出した取り組みを数人の市長が紹介していた。観光分野ではないが、ある市では昔から盛んな農産物をブランド化し、積極的な宣伝活動を展開。大都市での販売に成功しているという

▼地域独自の文化に関する情報をもっと多く、もっと深く発信し、人々の興味を引きつける。そして現地に来てもらうような取り組みが必要だ。民間企業でも不可能ではないだろう。観光への新分野進出も一つの方策として考えてみてはいかがだろうか。(東京・JI)

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