コラム

2010/03/08

レルヒ少佐の願い(新潟・KK)


▼世界中で様々な感動を生んだバンクーバーオリンピックが幕を閉じた。日本勢が獲得した5つのメダルは、いずれもスケート競技のもので、期待されたスキー競技では残念ながらメダル獲得には届かなかった

▼日本陸軍研究のため訪日したオーストリアの軍人、テオドール・フォン・レルヒ少佐が、明治44年に新潟県上越市の金谷山で「スキーを履きなさい」という掛け声のもと、スキーの技術を指導して来年1月で100年を迎える。このスキー指導は多くの犠牲者を出した八甲田山雪中行軍の教訓を踏まえて、日本で初めて組織的なスキー指導が行われたものだった

▼レルヒ少佐が当時伝えたのは一本杖スキーで、スキー板も昨今主流のものとは異なるが、上越市では現在も一本杖を使った滑り方が受け継がれている

▼新潟県ではスキー発祥100周年プロジェクトのメインキャラクターとしてレルヒ少佐をイメージした「レルヒさん」が登場。新潟県やスキーの魅力を伝えるため日々活躍している。ちなみに「レルヒさん」は日本の調査研究のために来日したものの、たまたま訪れたスキー場の客の少なさに愕然とし、ウインターレジャーの活性化のために一肌脱ぐことになったという

▼時代とともにスキーやスキー競技が進化している一方、国内では近年、スキー人口が減少し、少雪の影響もあって閉鎖を余儀なくされたスキー場も目立つ。振り返れば筆者も10年以上スキーから遠ざかっている。「スキーを履きなさい」というレルヒ少佐の言葉は、スキーの魅力を再認識するための100年前から現代に贈られたメッセージなのかも知れない。(新潟・KK)

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