コラム

2010/03/12

長生きする日本の中小企業(茨城・KK)


▼よく「会社の寿命は30年」と言われる。日経ビジネスが1983年に、大企業の資産総額のランキングを分析したところ、「優良企業の評価を受ける『盛り』は30年まで」という結論に達した。あくまで、全盛期、ピークの話だが、衝撃的に受け止められた

▼大阪の建設会社「金剛組」をご存知だろうか。現存する世界最古の企業で創業はなんと578年。聖徳太子が法隆寺、広隆寺、四天王寺など七大寺を建立した時、百済から3人の宮大工を招致した。そのひとり金剛重光がそのまま日本に残り、以来1432年の歴史を持つ

▼兵庫県の870年の歴史を持つ鍛冶屋「明珍(みょうちん)本舗」。明珍家は甲冑(かっちゅう)師の名門で代々、鎧兜を制作してきた。明治維新で武士の時代が終わると、鍛造(たんぞう)技術を活かして火箸を作り始める。昭和30年代に入り、火箸の需要が落ち込むと、火箸を組み合わせて風鈴とドアチャイムを考案。澄んだ音色は世界的に高い評価を受ける

▼世界で創業200年以上の会社5586社(韓国銀行調べ)のうち日本企業は3146社でなんと56%。2位はドイツで837社(15%)。モノづくり大国ニッポンの面目躍如といったところか。マイスター(職人・達人)の国・ドイツの2位もうなづける

▼東京商工リサーチによると、日本で100年以上続いている会社は2万1066社だが、その多くが年商5億円以下の中小企業だという。あまり規模を拡大していくと、社会が大きく変わった時、うまく対応できないのは明らかだろう。先行き不透明な昨今、中小企業のメリットを活かす時代と言えるかもしれない。(茨城・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら