コラム

2010/03/15

大局観を持って選択を(山梨・RA)


▼地方で働く様々な業種の人や都会住まいの若者が対話し、現代社会特有の悩みを相談して解決するというコンセプトのテレビ番組を見ていた。出演者は農家にホスト、芸能人、世話人、知事と、実に様々な職種のプロが入り乱れて会話するので、なかなか面白い。その時、造園業者の言葉が胸を打った

▼今、好景気の中国で日本のとある木が売れている。「木を増産してビジネスに乗り出してみたら…」という問いに対し、その造園業者はこう答えた。「20年、あるいは30年と丹精込めて育ててきて、ようやくその木が何10万円という値段になる。増産してさあビジネスだとかそういう話とはまた違う話になるのだ」

▼即物的なものにとらわれず、将来を見据えてものごとを判断することを「大局観」という。造園業に使われる木のように、エコも即日で効果が現れるものではない。毎日の積み重ねが10年後、ないしは20年後に効果を現す。比較するのは、遠い未来の大木だ

▼エコという言葉を耳にするようになったのはいつ頃からだったろうか。思えばペットボトル専用のゴミ箱ができ、スーパーの袋が有料化し、徐々にわれわれも意識しない領域でエコをするようになってきた。10年前に比べれば種子と樹木ほどの差があると言っても過言ではない

▼話は変わるが、気がつけば参議院選挙がもう近い。政治と経済が混迷する昨今、こんな時こそひとりひとりが大局観を持つことが必要ではないだろうか。近い明日だけではなく、遠い将来をも見据え、よく考えて一票を投じたいものだ。この一票一票の積み重ねで変化することを忘れてはいけない。(山梨・RA)

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