コラム

2010/03/19

公共投資のバトン(茨城・HN)


▼出張で都心に向かう列車の中、ふと外に目をやると改築計画のある病院に目が止まった。たしか昭和40年代に建てられたもの。外観はいかにも古そうだ。手狭な敷地内でなんとか拡張を繰り返してきたが、もはや限界。出入り口も反対車線から来た車には入りにくく、住民から改善が切望されている

▼政権交代で「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズもだいぶ浸透してきた。事業仕分けで無駄を省き、優先順位を付け、これを医療や介護、教育、環境といった部分に充てることで新たな成長を目指す政府の考え。昨今、「政治とカネ」の問題で国民からの求心力は低下しているが、それでも「無駄を省いてほしい」という民意が低下することはないだろう

▼国は従来の縛りある「ひもつき補助金」を廃止し、地方自治体が使い易いように「一括交付金化」を進めている。用途が決められていた予算は、今後、さまざまなことに使い道が広められ、自由度の高いものとなるだろう。それはつまり、公共投資のウエートを、自治体が決められるということでもある

▼冒頭の古い病院。どうやら平成25年の完成を目指し移転改築が進められることになりそうだ。だが多額の負担が求められる自治体にとって、この病院改築への?優先順位?は、いまだ明確なものとなっていない

▼「一括交付金」は平成23年度からの実施が見込まれているというが、その具体的な内容はまだ示されていない。だが今後、公共投資の?バトン?は「国から自治体へ」と渡ることになるだろう。自治体には、どうか実情に即したゴールを目指してもらいたいものである。(茨城・HN)

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