コラム

2010/04/13

プロとしての誇り(茨城・HS)


▼今年のアカデミー賞主演女優賞を獲得したサンドラ・ブロック。その受賞前夜、彼女はすでにラジー賞主演女優賞も獲得していた。2日続けての受賞とはなんと名誉なこと、と思いきや、アカデミー賞が「最高」を決める賞なら、ラジー賞は「最低」を決める賞。つまり、わずか2日間で最低の不名誉と最高の名誉を手に入れたわけだ

▼しかも、めったに受賞者が出席しないラジー賞の授賞式にも律儀に出席し、堂々とトロフィーを掲げてみせたのだから大したもの。もしかしたら、最高が決まる前日にわざわざ最低として表彰されに行く懐の深さが、縁起の悪さを蹴とばしたのかもしれない

▼彼女同様、ハル・ベリーも2賞を受賞し、ラジー賞授賞式に出席している。ハル・ベリーはアカデミー賞から3年後の受賞だったので、2つのトロフィーを両手に持ち、アカデミー賞のスピーチをもじって出席者を笑わせた。その上、涙まで流してみせたのだから、まさに女優魂ここにありと言えるだろう

▼この2人に共通して見えるのは、プロとしての誇りだ。「プロとして出演した作品に精一杯打ち込んだ結果だから悔いはない、全力を尽くしたのだから恥じる必要はない」―そんな言葉が彼女たちの行動から聞こえてくる

▼何かというとすぐに批判の矢面に立たされる建設業界も同じだ。現状では残念ながら、建設業が社会の役に立つ仕事だという常識が一般に広く浸透しているとは言いがたい。だからこそ、プロとして、後世に残す恥ずかしくないものを造っているという認識を持ち、胸を張ってそれを誇示するくらいの気概が必要なのではないだろうか。(茨城・HS)

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