コラム

2010/04/20

清張作品と企業(埼玉・NT)


▼「時間が足りない。書きたいものがありすぎる」…。平成4年に82年の生涯を閉じた松本清張の言葉だ。昨年12月に、生誕100年を迎えた。北九州市には、既に記念館も設立されている

▼「ゼロの焦点」「点と線」「砂の器」などは、リニューアル上映やテレビで記念番組が企画され、話題となった。筆者も昭和36年と33年に公開された同作品をリアルタイムではないが、ビデオなどで鑑賞した。そのつど感動が伝わる

▼昭和51年から約10年にわたり、「好きな作家」第一位に選ばれている国民的作家であることは周知の事実である。また、44才(1953年)『或る「小倉日記」伝』で芥川賞をとり、47才で筆1本の生活となるまで某全国紙の広告部意匠係(今で言うと広告デザインのレイアウト)に所属している

▼清張は、高等小学校までの学歴で職場で差別を受けていた。数ある作品の中でも、昭和34年に発表された「空白の意匠」は地方新聞社における職場の軋轢を描いている。いつの時代にも、どこの業界にもありそうな生々しい内容だ。職場における致命傷になりえるミスで部署のトップが責任をとる。当たり前のことのようだが、自らが勤める会社、さらにその周辺を取り巻く関係各社からの決断を迫られる一瞬とは、どんなものであろうか

▼建設業においても、現場代理人、営業、設計、総務などが代表的職種と言えようか。また、新聞社では編集、営業が大きな線引きとなる。きれいごとに聞こえようが、お互いの仕事を理解する気持ちを心の片隅に置き、各部署が協調して成果を生む。そういった風紀が無ければ会社の成長はありえない。(埼玉・TN)

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