コラム

2010/04/23

「はしっこグルメ」の復権(茨城・KK)


▼小紙水戸支局が入居しているビルに入っているパン屋さん。焼きたてのパンやサンドイッチのほか、お弁当やサラダなど充実メニューでなかなかの繁盛ぶりだ。「お1人様2袋まで」―サンドイッチ用の食パンの耳をプレゼントしてくれる

▼食材や料理のロス部分を安く買って、おいしく食べる「はしっこグルメ」の流行が続いている。有名店のカステラやお好み焼きのはし切れを詰めた袋は連日即完売。新聞、テレビ、インターネットでも、定番の1斗缶入りのこわれ煎餅から各種海産物、果物、ソーセージ等々、多少不揃いなだけで味も品質も保証付きのお値打ちグルメが紹介されている

▼筆者が物心ついた頃は、もはや物資欠乏という状況ではなかった。しかし、食べ物をはじめとして、物を大切にするということは、どの家でも常識とされていたように思う。貧乏性という言葉もなかった気がする。そう広くない国土で大部分が山。その狭い可住面積の中でこつこつ働いてきた日本人の古来からの精神文化なのだろう

▼いつの間にか、日本から「旬」という言葉が消えてしまった気がする。野菜類ならハウス栽培ものが、魚肉類なら養殖やブロイラーものが行きわたって、いつどこにいても欲しいものが手に入る。一見、生活の豊かさを感じさせるかもしれないが、旬のものに触れる感動を薄れさせた

▼粒が不揃いになったトマト、曲がったきゅうりなどは、見た目が悪く敬遠されがちだが、旬の味わいがある。賞味期限間近の「見切り商品」や型落ちの「入れ替え商品」も以前にも増して人気だ。はしっこグルメの復権は本来求められる姿だろう。(茨城・KK)

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