コラム

2010/05/12

家を使い続けるツバメ(群馬・HM)


▼我が家の玄関先には毎年ツバメがやってくる。仕事から帰り、毎日巣を見上げるのが春から秋までの楽しい習慣になっている。そんなツバメの巣に異変が生じたのは昨年の秋口。端の方が壁から浮いてきて、それは徐々に広がり、巣の4分の1ほどが壁から浮いてしまった。親鳥は異変に気が付かないのか補修しようとしない。去年は無事に巣立ってくれたが、このままではいずれ落ちてしまう。そう思い、ちょっと賭けになるがわざと壊してみた

▼今年になり再びツバメがやってきた。壊れている巣を放棄してしまうかと不安だったが、ツバメは完璧な「リフォーム」を行ってくれた。修復しながら長く使う。まさにツバメ版長期優良住宅だ

▼200年住宅に始まり、国は長期優良住宅に積極的に取り組んでいる。長期住宅とは、子どもがいる時は広い家に、子が独立すれば小さめの家に、そのようにライフスタイルに合わせて住み替えるもので、売る時に高く売れるように資産価値の高い住宅を、というのがスタートだ

▼しかし日本人は土地への愛着が強く、住む家を転々とするのが苦手。今後、長期住宅が広がりを見せるのかどうか、このあたりもキーになってきそうだ

▼毎年、律儀に帰ってくるように見えるツバメだが、実はすべてが戻ってくる訳ではない。確かに筆者の家でも、去年と違う感じだなと思ったことは何度かある。1つの巣を色々なツバメが使っていく。その意味でもツバメはちゃんと長期優良住宅を実践している。家に帰った時のちょっとした楽しみのため、これからも長く、沢山のツバメに利用される「家」であり続けてほしい。(群馬・HM)

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