コラム

2010/05/20

結局は「人」に(東京・UT)


▼ワンデーレスポンス、三者会議、設計変更審査会。国土交通省が、現場における受発注者間のコミュニケーションを円滑にする目的で導入中の取り組みである。これらの運用をより良いものにしようと、実務者からのアンケート結果を反映させ改善を進めている。地方整備局ごとに独自の工夫をしているケースも多いようだ

▼国交省では近年、設計変更ガイドライン、土木工事書類作成マニュアルも作成した。本省主導で、全地方整備局に徹底している。こうして見ていくと、制度やツールは「これでもか」という程に取り揃えている。それなのに受注者からは、「書類が多い」などの不満がいまだに挙がるのは、どういうことだろう

▼一つには、本省レベルでどんなにペーパーを作成してみても、整備局、事務所、出張所と流れていくに連れて、徹底の度合いが薄れていくことが挙げられるのではないか。また、こう言ってしまうと身も蓋もないが、結局は担当者個人の資質もあるのだろう。「担当者によって、対応がまちまち」というのは、ある程度は仕方がない

▼個人による違いは、受注者側にも言える。「書類が多い」という不満には、設計変更を認めてもらうための説明資料も含まれている。口頭での説明能力に長けた人物かどうかで、自主的に作成する書類の分量も変わる。また机上ではなく、現地の状況を見てもらえば、一発で終わることもあるのではないか

▼結局は人で、マニュアルをどんなに作っても意味はない。これも一つの真実だろう。ただ、それでは組織論を捨てることになる。個人の資質と組織論の、最適なバランスを追求するしかないのだろう。(東京・UT)

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