コラム

2010/05/26

勲章と季節の変遷(群馬・HI)


▼国家や公共に尽くした功労を表彰する勲章。また褒章は特定の社会的分野での功績に対し授与される記章。多方面で実績を残された方が名を連ねる。その中で、建設業界の受章者に本紙ではそのつどインタビューする。すると、受章者のコメントの中には、共通する点がいくつかある

▼受章について率直な感想を求めると、一様に「何で私がいただけるのか」と謙遜。しかし、受章に至った業務について、現在の課題や今後の後進指導などに話が及ぶと、時が経つのも忘れ、熱っぽく語る。受章理由にもなった業務を50年、中には60年にもわたり打ち込み、気が付いたらこの歳に―と語る人も実に多い

▼そして、受章を人生の転機にする人も多いのに驚く。これまで業界団体のトップ、または会社の第一線で旗を振ってリードし、身の引き際が難しくなってしまった人にとって、受章は自身や周囲にとって大きな区切りとなるようだ。察するに一線で努力を尽くすことは、身を削る思いなのだろう

▼時はまさに、若葉萌え、雪解けの清流が春の音を奏で、夏に向かって自然界は1年でもっとも生命感に溢れた季節である。そしてゴールデンウィークを過ぎるころになると、夏へ向けて加速度的に動き出す。まるで人生の10代、20代のような時期に当たるだろうか

▼季節が大きく移り変わる春と秋。この季節に与えられる褒章・叙勲は、受章者がこれまでの人生を振り返る契機になるとともに、中には世代交代で、業界や会社のトップを去る人もいる。受章者の声の中に、共通した一抹の寂しさを感じる時があるのは、こうした理由があるのかもしれない。(群馬・HI)

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