コラム

2010/06/30

緑は好きでも虫は嫌い(群馬・HM)


▼日差しが強い。暑さに弱い筆者にとってはきつい季節だ。仕事柄、外にいることが多い。夏の陽は全身を容赦なく焼く。歩けば汗が出る。そんな時にちょっと一息つけるのが街路樹の木陰。信号待ちの時など本当にありがたい

▼そんな街路樹で興味深いニュースがある。街路樹が多い仙台市泉区で、虫の駆除の要請が増え、役所が悲鳴を上げているという。害がある虫ではなく、毛虫のようないわゆる「気持ち悪い」虫のようだ。「緑は好きでも虫は嫌い」というのが駆除を求める理由だという

▼「環境保護」、「省エネ」という文字が日常的に飛び交い、環境への意識も高まってきたと思うが、一方で感覚的には自然からの距離感は増しているのかもしれない

▼今の子ども達は自然に接することが極端に減っている。筆者が住んでいる所はかなり田舎だが、虫採りや魚採りをしている子を見たことがない。一度、親水公園を建設するためのワークショップへ取材に行った時、「川の水は汚いので直接入れないようにしてくれ」という要望があった。これには驚いたが、実は当たり前で、水に入れる公園は浄化しているらしい

▼確かに雑菌はいるだろう。虫採りをすれば、蜂に刺されることもあるし、蛇に会うこともある。川の中でも同じだ。危ないといえばすべて危ない。しかし、過保護にしすぎるのもどうか。これでは虫が気持ち悪くなって当たり前。「虫がいるから駆除してくれ」では自然との共生など無理だろう。街路樹でわずかな涼を取る。幹を這う毛虫。あまりにも当たり前の景色なのに―と少し残念な気持ちでいっぱいである。(群馬・HM)

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