コラム

2010/06/11

電子書籍の潮流(茨城・KK)


▼「ついに来たか!」先月28日、米アップル社の新型多機能情報端末「iPad(アイパッド)」が日本国内で発売された。自他共に認めるアナログ人間で流行りものには極めて疎いほうだが、iPadが電子書籍に対応していると聞いては、本好きとして無関心ではいられない

▼本が売れないといわれて久しい。1996年にピークを迎えた出版物の総売上は、2008年にはその約4分の3にまで落ち込んだ。一方で、インターネットの利用者は90年代後半の約8倍と飛躍的に増加、多様なコンテンツ・サービスが求められている

▼読み手側から見た電子書籍の利点としては?印刷製本・流通コストが省かれるため割安になる?絶版・品切れがなくなる―などが挙げられる。対する出版社・書店側としては、ますます紙の本が売れなくなるのだから死活問題だ。著作権というクリアしなければならない難問もある

▼本は買って所蔵するものと考える人がいる反面、世代によっては、本好きであってもスペースの問題から図書館を利用し、自宅には書棚がない人もいる。古書店で売り買いしたり、コミック・レンタルを利用する若者も多い。以前に比べ、人々の所有欲は間違いなく減退している。電子書籍もかなりのスピードで紙の本に取って代わると思われる

▼「変わらなければいけない」「変わっていこう」―そう言い続けながら、どこがどう変わったのかいっこうにわからない…。多くの人にいえることでは。550年前のグーテンベルクの印刷革命以来の読み物は紙で提供されるという前提が今、大きく変わろうとしている。安閑としてはいられない。(茨城・KK)

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