コラム

2010/06/12

小学生の疑問はヒント(新潟・KK)


▼6月は国土交通省が定める「土砂災害防止月間」。梅雨期は降雨で地盤が弛み、土砂災害が発生しやすくなるため、発災前の準備と砂防施設等に対する正しい理解が必要となる

▼国土交通省と都道府県では小・中学生から土砂災害や、その防止について理解、関心を深めてもらうために、毎年「土砂災害防止に関する作品コンクール」を開催。災害防止につなげるための作文、絵画、版画、ポスターを募集。昨年度の「小学生・作文の部」の最優秀賞(国土交通大臣賞)を受賞したのは新潟県糸魚川市立磯部小学校4年生の女子児童だった

▼タイトルは「教室から見えるパイプを見て考えたこと」。教室の脇にある山の土手から飛び出している丸いパイプの存在を不思議に思いながら、やがて、そのパイプが山の中にしみ込んだ水を排出していること、それが土砂崩れ防止に役立っていることを知る

▼糸魚川市では日本で初めて「世界ジオパーク」に認定され、剥き出しになった地層を見学しようと観光客が増加中だ。作文では大勢の人が訪れても混雑しないよう道路を拡げて欲しい反面、「山をけずりすぎて土砂くずれになるのはいやです」と、道路も拡げながら、丸いパイプのように安全を守るための工夫も必要ではないか…と問い掛けている

▼山を削らず道路を拡げ、土砂崩れ対策を施すことは難題だ。だが、この課題を解決し、小学生に胸を張って仕組みを説明できれば、地域を発展させ、暮らしと安全を守る公共事業の役割と尊さの理解につながるだろう。小学生の素朴な疑問には世間一般から公共事業が正しく理解されるためのヒントが隠れている。(新潟・KK)

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