コラム

2010/06/26

「はやぶさ」の残した功績(山梨・RA)


▼6月13日午後10時30分過ぎ、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還した。帰還と言っても、「はやぶさ」本体は大気圏で燃え尽きてしまい、代わりに宇宙で採取した試料を乗せたカプセルだけが地表に辿り着く。筆者も夢中になってライブ映像にかじりつき、大気圏に溶ける「はやぶさ」を見守った

▼「はやぶさ」は、2003年に作られた探査機。最新型のイオンエンジンを登載し、火星と地球の間に浮かぶ小惑星「イトカワ」を目指して鹿児島県から旅立った。もしも試料を採取し、持ち帰ることが出来たなら、人類で最も遠い場所から試料を採取できたことになり、日本の宇宙開発にとっては史上初の世界的快挙となる

▼だが、「はやぶさ」の旅は順調ではなかった。2005年に燃料漏れが発生して7週間行方不明になり、また2009年にはエンジンが停止。その度に機転を利かせた発想で苦難を乗り越え、予定より3年も遅れて地球への帰還を果たした。結果もさることながら情熱も評価されるところだ

▼「旅」だけではなく、宇宙開発の面も順風満帆ではなかった。というのも、昨年11月に実施された事業仕分けで、衛星関連予算は大幅に削減するということになっていた。金額では17億円要求のところ、わずか3000万円しか予算が取れないとされていた

▼しかし「はやぶさ」の功績によってこの「仕分け」の結果が覆えされようとしている。挙げた成果が大きかったからとはいえ、見る人によっては「手のひらを返したような対応」に見えてしまうのは、マイナスに違いない。未来の功績をも見据えた観点で仕分けをしてほしいものだ。(山梨・RA)

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