コラム

2010/07/02

一点物の価値とは(茨城・HN)


▼最近はすっかり手ごろな価格になったデジタル一眼レフカメラ。購入を検討していた小紙の記者が、同僚にこんなことを言っていた。「購入するときは、俺に言ってくれ。値段交渉は得意だ」と。なんでも以前から購入している店で、その際もかなり、値切って購入したのだという

▼それにしても、数ある業界のなかで家電業界は量販店を中心に安値合戦が過熱の一途をたどっている。家電に目がない筆者。週末ともなれば、Y社やK社の折り込みチラシに自然と目が向いてしまう

▼家電業界は、さまざまな部品を組み合わせてつくった製品を、メーカーから問屋、量販店と、一定のルートを通して販売。同じ商品を大量に生産して販売することで、部品の製造者、メーカー、問屋、量販店のそれぞれが一定の利益を確保している

▼これを建設業界に置き換えてみるとどうだろう。発注者から注文を受けた元請け業者は、設計書に基づいて資材を調達し、下請け業者とともに、一つのものを造りあげていく。家電業界で言えば、受注生産の部類にあたるが、それでも大きく違なるのは生産数。建設業界ではどんなに決められた仕様でも、多種多様な立地条件や技術力などにより出来上がるものは、すべて?一点物?だ

▼後日、「カメラを一万円も安く購入できた」と喜ぶ記者を見て、違和感をおぼえた。それは、前にこんな話を、とある市長が話していたからだ。「予定価格の引き下げで建設費用が抑えられ、コスト縮減を図ることができたよ」。建設業は、カメラのように完成したものを売る商売ではない。そこには卓越した技術と想いが込められている。(茨城・HN)

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