コラム

2010/07/06

常識は変わりつつある(東京・JI)


▼食欲が減退する夏は、昼食をざるそばだけで済ませてしまう人も多い。暑い日は冷たいざるそばがぴったりだが、しかし夏でも食欲旺盛な筆者としては、それだけでは足りない。せめてイナリ寿司くらいは追加したいところだ

▼国土交通省の地下にもそば屋があり、値段が安いこともあって昼時は職員で大行列となる。この店で気になるのは「温かいそば」と「冷たいそば」の2種類を注文する人が多いことだ。彼らは卓上に2つのそばを並べ、右に左にと交互に食べている。よそでは見たことがないが、ここでは通常の光景だ。国交省の職員には変わった人が多いのだと思っていた

▼ところが、国会議事堂にあるそば屋は、もっと進んでいた。この店では、温そば、冷そばの2つをセットメニューとして提供しているのである。筆者は小さい丼を加えた「そば定食」を注文したが、料理が来るまでに周囲を見渡すと、やはり多くの人が「温そば・冷そばセット」を食べていた。もしかしてこれが普通の食べ方なのだろうかと、自分の常識観が揺らぐ

▼常識は、多くの人々が共有する「当たり前のこと」である。しかしこの常識は、時と共に移りゆくのも事実。社会で起きる様々な出来事を通して人々の価値観が変転し、そして新たな常識が形成されていく

▼そばの世界でも新たな常識が生まれているのではないか。試しに、国会議事堂のそば屋で「温そば・冷そばセット」を注文した。交互に食べてみると、なるほど飽きることなく味を楽しめ、かつ満腹になった。この経験で、自分の常識は変わりつつある。さらに別の分野の新常識も探してみようと思う。(東京・JI)

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