コラム

2010/07/08

SLから学ぶこと(山梨・TH)


▼新緑の山梨にSLが駆け抜けた。汽笛を鳴らし黒煙を上げながらゆっくりと動き出す。中央本線甲府〜小淵沢間をSL「D51(デゴイチ)」が力強い足音を響かせ疾走。甲府発小淵沢行は蒸気機関車(SL)が、小淵沢発甲府行はディーゼル機関車(DL)が牽引した。沿線には鉄道ファンが大勢つめかけ、同区間での45年ぶりの雄姿を楽しんだ

▼SLファンは著名人にも多い。菅直人新首相が閣僚人事などの調整に追われる中、大の鉄道ファンとして名高い前原誠司国土交通相が6月5日、突然来県。SLの写真を撮って立ち去ったというニュースが流れた。民主党県連には知らされていない全くのプライベート。この写真は大臣室に大きく引き伸ばし、他のSL写真と並べて飾られている

▼SLの魅力は、黒くて大きな何車両もつながった汽車が、蒸気の煙を吐きながら、今の電車よりもずっと時間をかけて悠然と目の前を通り過ぎるところ。また、客車の窓をあけると石炭の焼けた匂い、そして煙突から出る煙だ

▼最近はエコ志向。SLよりも有害な煤煙・ガスの排出が気になってしまった。SLの走る姿は生き物にたとえて、石炭を食べ、水を飲み、息せき切って突っ走ると表現される。煙は姿を消した重要な原因のひとつ。大気汚染の一因になってきたことは否定できない。しかし飾り気のない無骨な工業デザインに心が惹かれる

▼筆者はSLが煙を吐き走っている姿を眺めていると「頑張れ」と応援したくなる。それは、自分自身と重ねてしまうから。SLのように力強く、たくましく生きなければ、生活出来ない世の中になってしまったのか。(山梨・TH)

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