コラム

2010/07/15

移動する権利の保障(東京・UT)


▼前原誠司大臣は6月に「国土交通省政策集2010」を発表した。5月に大臣肝いりの成長戦略会議が提言した「国際展開・官民連携」「航空」「観光」「住宅・都市」「海洋」の5分野の施策を取り込んでいる点が特徴。その上で、重要政策を?国土交通行政の大変革?環境・暮らし関連?安全・安心、セーフティネット関連―の3本柱で体系的に整理している

▼この中で、交通基本法の制定が盛り込まれた。省内で検討が進められており、来年の通常国会に法案を提出する予定。同法は「移動権」という概念を根幹に据えている。あまり耳になじまないが、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な「移動権」を保障するという。高齢者や体の不自由な方の視点、バリアフリーの考え方にもつながっている

▼交通はあらゆる活動の基礎。なるほど、言われてみればそうかもしれない。電車が止まったり遅れたりして、冷や汗をかいたり、あるいは取り返しのつかない事態につながったりした方もいらっしゃるのではないか

▼都会では電車やバスが発達している。反対に、地域公共交通をめぐる状況は厳しい。地方のバス、タクシー、鉄道などの旅客数は過去10年間で2割減、20年間で4割減に落ち込んでいる。赤字の会社が増え、採算を取ろうとして運賃を上げようとすると、客離れが加速するという悪循環に陥ってしまう

▼地域公共交通を活性化し、自家用車などと公共交通手段のベストミックスを構築する。その意気や良しだが、具体策がどうなるのか注視したい。また鉄道整備やバリアフリー関連施策で、建設業が担える部分もありそうだ。(東京・UT)

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