コラム

2010/07/30

定着することの難しさ(茨城・HS)


▼菅新総理の国際デビューの場となったG8サミット。各国首脳は菅総理を見て「また違う顔か」と思ったことだろう。過去5回、首脳が変わらなかったのはドイツとカナダだけ。逆に日本は5人すべてが違う顔。これだけコロコロ変わっては「どうせ来年も…」と勘繰られても仕方ない

▼実際、消費税や普天間基地など、下手をすると政権崩壊につながりかねない問題が山積みで、菅総理が次回また出席できる保障はどこにもないのが現状だ。各国首脳に年代わりの総理の顔など覚えたところで意味がない、と思われている可能性もある

▼先日、久しぶりに2000円札のニュースを見た。沖縄サミットを記念して発行され、それから丸10年が経った。現物を見て触った記憶はあるのだが、実際に使った覚えはまるでない。今ではお目にかかる機会もなく、本当に流通しているのか疑問に。流通枚数は全紙幣の1%程というから、運が良ければそのうち出会えるかもしれない

▼自動販売機で使えない、1と5のお札で事足りる、馴染みがないからおもちゃ券みたい―、普及しない理由はさまざまだ。しかも新札の発行はすでにストップしていて、大量の在庫が日銀の金庫に眠っているという。もし使い道がないのなら、大胆な提案だが無料配布してはどうだろうか

▼ものには流行り廃りがあり、本当に望まれるものだけが歴史をつくることを許される。1年や10年で忘れられるものは、その時だけの需要に過ぎない。国の要である総理やお札が定着しないとは困ったものだ。しかし、選ぶ側、使う側も他人事ではない。結局、ツケは自分に返ってくるのだから。(茨城・HS)

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