コラム

2010/08/05

我田引水に日本も参戦(埼玉・YW)


▼米国や中国、仏国は国を挙げて国益を考えた戦略で、鉄道や高速道路、原発などのインフラ整備の受注に動く。これにならって前原国交相は「官民力を合わせて仕事を取りにいく」と息巻く。国益とは外貨の獲得だったり、自国の企業への利益導入の場合もある

▼一方、人口増加や経済発展に伴いアジアの途上国では水不足が懸念されている。中国では660都市のうち511都市で水不足、110都市で汚染が拡大。こうしたなか、水ビジネス界は激しい仕事の奪い合いで、さながら「我田引水」の様相を呈している

▼水利権や水分配で国家間による長期紛争中がヨルダン川(イスラエル・ヨルダン・レバノン)、ナイル川(エジプト・スーダン・エチオピア)、チグリス・ユーフラテス川(トルコ・シリア・イラク)など。アフリカ西部を流れる国際河川セネガル川(セネガル・モーリシア)は水利権に領土問題が内在した争いである

▼国際受注合戦に敗退が続くわが国では、官民による情報の共有と交換を行う「海外水インフラPPP協議会」(仮称)を設置し、上下水道事業を含む水管理をパッケージとして捉え、海外展開に向けた取り組みを推進する。上下水道の整備、運営・管理市場は15年後の2025年に80兆円市場を見越し、うち日本の水関連産業は1・8兆円を目標とすることを政府が決定

▼韓国は李大統領がトップセールスを仕掛け、シンガポールは「ウォーターハブ」と題した国家目標を打ち出し、国を挙げて水分野で「地元企業を世界企業」に育成すべく動き出した。ただし、我が田へ水を引くことができるかは未知数であるが。(埼玉・YW)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら