コラム

2010/08/12

スイスの社会的概念(埼玉・YW)


▼新しい社会、地域と支え合い、かつ自ら貢献できることは何か―。それを問い掛け、そして自分でできる可能な範囲での社会への参加が叫ばれている

▼先日埼玉県の防災ヘリが秩父山中で墜落、痛ましい事故が発生したことは記憶に新しい。実はこのドクターヘリだが配備している都道府県は19、全部で20台前半程度の備えしかないのだ。こういった状況では、安心・安全のため、または命に関わる病人が出た場合など「道路整備が必要だ」といった議論がつきないし、地方では道路整備は必然だと声高になる

▼ドクターヘリは、道路整備が行き届いていない場所にこそ普及が必要である。現に先日日本人も含めた観光客がスイスの列車事故で命を落としたが、スイスはドクターヘリ配備数は世界1である。その際も活躍したことは言うまでもない。さらに驚くことに、公共の予算で世界1の配備数を誇っているのではなく、運営費の半分は国民が喜んで寄付しているという。まさにスイス人こそは公共、公共財産に自ら参画する理想的な国民である

▼一般的に何かあると役所への批判、社会への批判を第1にするのが日本人の性癖である。島国根性がしみついた悪い部分ではあるのだろう。やはり新しい公共という考えに日本人は脱却できるのかが問われている

▼スイスは永世中立国で、国境は山間部が多く、防衛の意味でも山間部に住んでほしいと国からサラリーが出て、不便な山間部に住んでいるお国柄。「自ら守る」という公共にも参加し、その精神にもあふれている。海に囲まれたわが国も、こういった精神は大いに見習わなくてはならない。(埼玉・YW)

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