コラム

2010/08/13

危ういニッポンの科学技術(茨城・KK)


▼民主党新政権の誕生からまもなく1年。2009年の新語・流行語大賞で「政権交代」が選ばれるなど、国政選挙で野党が圧倒的民意を得て政権交代したのは、日本の政治史上初のこと

▼民主党政権の目玉政策のひとつ、行政刷新会議による事業仕分け。10月には特別会計を見直す第3弾が予定されているが、平成22年度予算に係る昨年11月の第1弾が特に印象に残る。次世代コンピュータなど科学技術関連の予算編成の際、蓮舫議員の「2位じゃだめなんでしょうか?」との発言が物議をかもした

▼世界に冠たる技術立国ニッポンも、安閑としていられない状況にある。年率10%を超える飛び抜けて高いGNP成長率を誇る中国は、先端科学でも日本を猛追。科学論文数では日本を抜き去り今やアメリカに次ぐ世界2位。米国での博士号取得外国人としても全体の3割を中国人が占める。日本人はわずか1・7%だ

▼日本の生徒・学生の学力低下が叫ばれて久しい。先進国で最低の授業時間、TOEFLの点数が世界最低レベル、小学校の算数ができなくても入れる大学…。資源の多くを海外に依存し、人的資源の優秀さで成長を遂げてきた日本に致命的な事態が迫っている。いみじくも今春の大学入試で理系の志願者が増加した。技術者は不況時でも一定の需要があるとの見方からだが

▼先の科学技術予算削減の判定に対し、ノーベル賞受賞者5氏が「科学技術立国に逆行」と批判した。日本の科学技術の水準の高さは、よく富士山にたとえられる。富士山の高さは、裾野の広さによって維持される。教育・文化・科学技術は「消費」ではなく「投資」であろう。(茨城・KK)

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