コラム

2010/08/25

だんご撒きはどこへ(新潟・HT)


▼いつごろからだろうか「だんご撒き」を見かけなくなったのは。「餅まき」や「餅投げ」などの別名があるらしいが、筆者の地元では、「だんご撒き」で通っている。どこかの家が新築されて、棟上の際には、スーパーの袋を片手によく行ったものだ

▼誰の家かもわからずに、存分に木の香りが漂い、柱と梁がむきだしの、まだ家の形をしただけの家の下、上から降ってくるお菓子やパン、5円玉を一生懸命に拾ったことを思い出す。最初に投げられる隅餅を拾った日には、ちょっとしたヒーローだった

▼最近、隣のお宅が新築したが、いつ出来たのかも知らない。家に灯りが点いて完成を知った。決して隣と疎遠なわけではない、誰が住んでいるかも分かるし、会えば挨拶もする。ただ、挨拶だけで、挨拶以上の交流はない。いつ家を新築するとか、どんな家か、なんてのは知らないし、人のつながりが希薄なこの時代に知らなくとも困らない。もちろん、だんご撒きはなかった

▼昔は、連絡が来るわけでも、広告されるわけもなく、いつ、どこでだんご撒きがあるのが、いつの間にか、みんなが知っており、当然のように家の下には多くの人が集まっていた。その意味で、だんご撒きは、人の交流や新築の挨拶の一つの手段だったのかも知れない

▼最近、自家を新築する知人にだんご撒きを勧めたが、あっさりと断られた。長引く不況、それによる新築住宅の減少、安全性、衛生面、プライバシーの問題など、だんご撒きをやらない理由は多い。そもそも、昔のように、人が集まるのかも問題だ。ただ、だんご撒きが、過去の風習に成り下がるのは、少し寂しい。(新潟・HT)

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