コラム

2010/08/26

官民共同で後継者対策を(長野・EM)


▼国家財政が破たんの危機に瀕しているのは、ばらまき公共事業のつけが回ったからで、一部の既得権益者が云々―。「公共事業は地域のため」という大義は十把ひとからげの色眼鏡で輝きを失い、一翼を担う建設業は、若者達の将来の選択肢として、もはや視界に入っていないのかもしれない

▼長野県では、今年3月に高校を卒業し就職した者のうち建設業への入職者が153人、全体の5・9%にとどまった。平成15年に構成比が2桁を割り込んで以降、3〜7%台の低水準が続いている。安定的な雇用ができない受け皿側の事情もあろうが、建設業に対する漠然とした負のイメージも一因にあるのではないか

▼長野県は本年度、建設、調査設計各業界との定期会合の主要テーマに「若手技術者の育成」を据えた。全国平均に比べ若年層が薄く、高齢化が進んでいる状況を改善すべく、官民問わず多角的な視点で具体的施策を検討し、可能なものは来年度から実施していく考えだ

▼県が叩き台と断った上で提示した一案は、担当技術者として若手技術者を配置した場合に評価する入札制度からのアプローチと、就労支援を目的とした建設業の魅力を高校生に伝える官民共同の講習会開催。今後の議論がどのように進んでいくのか、新たな取り組みに期待が膨らむ

▼仕事量を増やせと叫ぶ時代は過ぎた。斜陽産業、確かにそうかもしれない。それでも果たすべき使命に終わりは無く、伝承しなければならない技術がある。いかにして次代の担い手を育てていくかは喫緊の問題だ。なにしろ政府与党が打ち出す刺激的なキャッチフレーズを拭うのは、並大抵ではない。(長野・EM)

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