コラム

2010/08/27

人生に必要な知恵は(茨城・KK)


▼8月も下旬の今になると、喉元過ぎればの感があるが、今年の夏は記録的猛暑だった。あまりの暑さに、盆休みはどこにも出かけず、エアコンとテレビの高校野球を友として過ごした

▼高校野球を観ていて感じ入ることが多い。先取点を取ったからといって簡単に勝てるものではない。逆に、1、2点取られても辛抱して、後続を打ち取れば、今度は反撃の機会がやって来る。投手戦でも打撃戦でも、1試合には不思議と双方のチームに何度かチャンスとピンチが訪れる。それは、まるで人生のようだ

▼『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(ロバート・フルガム著・河出書房新社)を思い出す。「何でもみんなで分け合うこと」、「ずるをしないこと」、「人のものに手を出さないこと」そして「つりあいの取れた生活をすること」…。アメリカで大ベストセラーになった本だが、全篇、シンプルなメッセージで綴られている

▼ランナーが出たら送りバント、スクイズ。バッティングはセンター返し。高校野球に奇をてらった作戦などはめったにない。基本に忠実な戦法がほとんどだ。相手校より戦力的に優っていると思われるチームが、思わぬ大敗を喫した試合がいくつか見られたが、敗因は采配云々よりも、緩慢なプレーや凡ミスではなかったか

▼「あきらめなければ何かが起きると信じていた」(水城高校・浅野恵太主将)。すべての球児が同じ思いで戦ったに違いない。「小さいことに全力で取り組むことを指導してきた」と優勝した興南の我喜屋優監督。高校野球には、人生に必要な知恵がたくさん詰まっている―と感じた。(茨城・KK)

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