コラム

2010/09/04

どう生かす帆に受ける風(新潟・CS)


▼日本海の海岸に沿って車を走らせる。防風林やスイカ畑の砂丘地を抜けると、点々と見えてくるのはウインドサーフィンを楽しむ姿だ。なんとも夏らしく、まぶしい

▼地域材の利用を促進する法的後押しで、準備に余念が無い新潟県森林組合連合会。「追い風ですね」と声をかけると「この風をどのように帆に受けるかが大切」の答え。期待の中で兜の緒を締め、木の供給基地として、山側と使い手側のコーディネートに力を入れる

▼やりとりするうち、木造住宅専門のある会社が話題にのぼった。ふと、同社の若い社員の言葉がよみがえってきた。社長は業界の常識をことごとく覆す風雲児。全国的に新設着工数が激減する今も、成長を続ける。勢いに圧倒されながら「周囲はさぞかし振り回されているのだろう」と感じたのも本音だ

▼取材終盤、くだけた雰囲気の中で、無理難題が多いのではと若い社員に尋ねてみた。「自分でも本当に不思議なんですが、社長が『できる』というと、こちらも『あ、できるな』と思うようになったんです」。衝撃だった。強みの源泉を垣間見たような、そんな気がした

▼もちろん、常に順風満帆というわけではなかった。誰もが無理だと決めてかかったことを、諦めずに試行錯誤を重ねる社長。その姿を目の当たりにしてきた人の言葉である。「実は、辞表も出したことがある」とこっそり打ち明けてくれた。好調な今もなお、未来への投資としてアイデアをかたちにしようと奮闘する

▼風をいかに帆に受けるか。森林組合の担当者は、こんなことも言っていた。「たとえ逆風でも、帆の扱い方次第で船は進むものだ」と。(新潟・CS)

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