コラム

2010/09/10

デフレ対策とスローフード(茨城・KK)


▼何度整理しても片付かない自室、必要か不要か判断のつかないモノに囲まれての毎日に業を煮やして、『「捨てる!」技術』(辰巳渚著・宝島新書)を読み返した

▼捨てても、捨てても、なぜ再びモノがたまるのか?捨てるときには、真剣にモノに向かい合っても、日々の暮らしでは、ちゃんとモノに向き合っていないからだろう。「安いからとりあえず買っておこう」。そして、そのへんに置いては、たちまちこちゃごちゃの繰り返し

▼1986年イタリア北部ピエモンテ州ブラという田舎町で産声をあげた「スローフード運動」。大手ハンバーガーチェーンが地元に出店したのがきっかけでその土地の伝統的な食文化や食材を見直そうという機運が盛り上がった。1989年には国際スローフード協会が設立される。?失われつつある郷土料理や質のよい食品を守る?消費者への味の教育を進める?質のよい食材を提供してくれる小生産者を守る。協会の3つの理念だ

▼1990年頃のバブル経済の時期、ファストフードに代表される大量生産・高速型のライフスタイル、モータリゼーションの進展による地方都市の郊外化が急激に進んだ。旧中心市街地の老舗が軒並みシャッターを下ろすなど空洞化が進み、画一的な様相を呈した

▼供給過多、需要不足で物価が下がる。企業の利益が減り、従業員の賃金が低下、さらに雇用が危うくなる。日本が直面しているデフレーション。それぞれの商品に相応の対価を、個々の生産者に適正な利益を―の意識の浸透がデフレ対策の決め手なのでは。今こそ、先のスローフード協会の理念を忘れてはなるまい。 (茨城・KK)

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