コラム

2010/09/15

夏休みの宿題それぞれ(群馬・AN)


▼群馬県企業公社主催による夏休み子供自然エネルギー教室が開かれ、多くの親子連れが参加し、県企業局が管理する天狗岩水力発電所や吉岡風力発電所などを見学した。巨大な風車を前に「本当に人間が造ったの?すごいね〜」と驚嘆する児童。定番である宿題の1つ、夏休みの日記には、この風車の絵が描かれたに違いない

▼7月下旬、毎年恒例の県立中之条高等学校環境工学科による高校生インターンシップが行われた。建設業界入りを目指す高校生がそれぞれ職場体験を5日間実施するといった内容。現場で働く技術者とともに、汗を流す高校生の姿は非常に心強い

▼だが、環境工学科の生徒すべてが建設業界入りを目指し、建設業や測量・コンサルでの就業体験を試みたかと言うとそうではない現実がある。生徒の半数以上はホームセンターや百貨店など、業界とは一線を画す職種を希望したという。もはや、建設業に魅力はないのだろうか

▼群馬県建設業協会が会員へ行った建設従事者就労状況等に関する調査に『高等学校卒業生の離職状況』といった質問があり、結果を見ると『1〜3年以内』が35%を占めている。理由は『賃金の低さ』や『将来の不安』などが挙げられている

▼建設業界の現状を知らない児童は巨大な構造物を見て、その役割を聞いて素直にすごい―と驚く。しかし、業界入りを目指す高校生は建設業に不安を感じ、入職者は数年で業界に見切りをつける。児童が夏休みの日記を毎日楽しく書きつづる一方、今の建設業は、夏休み最終日にまとめて仕上げる宿題のような、膨大な現場書類作成の日々の連続を感じざるを得ない。(群馬・AN)

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