コラム

2010/09/24

魅力的な夢の乗り物(東京・JI)


▼『エレベスト』(梅田カズヒコ著)という本がある。世界最高峰の山、エベレストの話ではない。エレベーターマニアのことをエレベストと称し、乗り物としてのエレベーターを紹介するものだ。個性の強い約50種を掲載している

▼銀座にあるスウォッチグループのビルに設置されたガラス張りの乗り物には、腕時計が一面に飾られている。六本木にある高層ビルのエレベーターは1階・7階・24階にしか停車しない75人乗り。日本橋三越本店ではレバー操作で上下する手動式が残る

▼東京ばかりではない。山梨県には山腹を駆け上る斜行型が、茨城県には高さ120mの大仏内部にエレベーターが設置されている。同書ではこうした変わり種ばかり紹介しており、マニアならずとも楽しめる一冊だ

▼民主党が政策を検討する部門会議の取材で、議員会館に行くことが多い。7月から使用を開始した新しい会館はホテルのように豪華。議員事務所は上階で、地下にはコンビニやカフェなどが並ぶ。この建物のエレベーターの床はまるで鏡のように輝いているため、スカートをはいた女性と乗り合わせる男性は上を向いて乗らなければ品性を疑われる。足元を決して見ないよう、利用の際は注意が必要だ

▼エレベーター(elevator)の「elevate」とは、人や物を持ち上げるという意味である。つまり、人々を高みへと連れていってくれる夢の乗り物といっても良さそうだ。確かに、外の景色を見ることができるエレベーターに乗ったときの高揚感は、遊園地のアトラクションに近いものがある。どうやら自分も、エレベストに一歩近づいたようだ。(東京・JI)

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