コラム

2010/10/01

日本と中国の現実(茨城・HS)


▼秋。異常気象とも言える酷暑からようやく解放され、いよいよ紅葉の美しい季節を迎える。一悶着あった茨城空港も10月から国内定期便が復活し、観光客の増加が期待されている。ただ、料金の安い早期割引席は相変わらず売り切れが早く、筆者の気まぐれ一人旅はまだまだ先の話になりそうだ

▼外国人観光客の増加に力を注いでいる観光庁はこの秋、中国の「宝健」という企業の日本への社員旅行を誘致した。その数およそ3000人。家族を含めると1万人規模に膨れ上がる。ところが、中国漁船が尖閣諸島沖で起こした事件が原因で、この大旅行は取り止めとなった

▼見込んでいた13億円以上の経済効果も、これではまさに絵にかいた餅。日本円で2億5000万円以上かかるキャンセル料も「中国人の尊厳を守る」(同社声明)ためなら構わないらしい。中国市場の大きさを期待してビザ発給を緩和したのは分かるが、こうしたチャイナリスクを理解していたのかどうか疑問が残る

▼国交省は今、建設業界の海外進出をしきりに促している。だが、もしも何かがあった時、日本企業を守る意思はあるのだろうか。海外進出は、ある意味ではその国との戦いでもある。それなのに『国は民間に口出ししません。勝手にどうぞ』では企業が及び腰になるのも当たり前だ

▼確かに中国市場は魅力的だ。しかし忘れてはいけないのが、あちらは共産圏の国であり、国策として反日活動をしているということ。そして何よりも日本の常識があまり通用しないということ。たかが旅行に国同士のいざこざが持ち込まれるのは残念だが、これが両国の現実なのだろう。(茨城・HS)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら