コラム

2010/10/02

高速道路の無料化(東京・JI)


▼先日、山梨県の河口湖へ家族でキャンプ旅行に出かけた。行楽日和で嫌な予感はしていたのだが、それが見事に的中。中央高速道路で40kmの大渋滞に呑み込まれた。これほどの混雑を経験するのは10年ぶり。極度の低速運転で心も体も疲れ果てた

▼ところが大月ジャンクションから本線を外れて河口湖ICまでは、車が少なくスイスイ走れる。しかもここは、国土交通省が進める無料化社会実験区間。「高速」「快適」「無料」の3つの幸せを、わずかな距離ではあったが味わうことができた。それまで暗く沈滞していた車内の雰囲気は一変し、にぎやかで楽しい空気に戻った

▼今年6月28日に始まった高速道路の無料化実験は、23年3月末まで行われる。対象は全国の高速道路の約2割に相当する約1650km。そのほとんどは、八王子バイパスや東富士五湖道路、中部横断道、東水戸道路など本線ではなく「脇線」だ。恩恵にあずかれるのは一部の利用者だけだろう。しかし、仮に全線無料となれば、鉄道や航空の企業が怒り出すほど、国民の移動は車ばかりになるだろう

▼渋滞が続く中、疲労のためサービスエリア(SA)で休もうとした。ところがSAに入る車は、入口の数キロ手前から行列で止まっており、休憩できる状況ではなかった。この時、ある国会議員の言葉を思い出した

▼公共事業に関するインタビューで、その議員は「SAをもっと多く作るべきだ。現状では、休みたい時に休めない」と話した。確かに、簡素でも良いから休憩所がもっとあれば、渋滞でも少しは楽になるだろう。このアイデアが実現されることを期待したい。(東京・JI)

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