コラム

2010/10/23

技術力見せる中小パワー(新潟・HT)


▼日本の新幹線や原子力発電の技術は、世界最先端であり、海外への売り込みに政府は本腰を入れている。もちろん日本の建設技術も例外ではない

▼以前、日韓W杯を契機に友好の証として、海外の著名な建築家がデザインした建物を取材した際に、日本側の設計担当者は「難しい注文も、日本の技術力に期待している部分」と話していたことがあった。当然、原子力や新幹線を扱う会社は世界的にも有名な大企業であり、この建物を担当した日本側の設計者も在京の大きな設計会社であった

▼筆者の知人が「うちの会社、航空宇宙産業に参入するらしい」と筆者に打ち明けた。彼は、地元のメッキ工場に勤めるメッキ職人である。聞いた時は「馬鹿こくな」と鼻で笑ってやった。ほどなくして『航空宇宙産業の参入に向け、数社が共同受注を目指す』と報道され、その中に知人の会社の名前があったから驚いた

▼知人の話では、いずれJAXA(ジャクサ=宇宙航空研究開発機構)などから仕事を受注する計画で、航空宇宙産業の参入に向けたISOの認証取得を目指しているそうだ。日本から出たこともない一介のメッキ職人が手掛ける部品が、地球を飛び出し宇宙へ出るのである。宇宙産業が多業種で成り立っていることを聞いてはいたが、それにしても驚くのは宇宙産業に進出するだけの技術力が、こんな身近にあったことだ

▼現代ほど技術力が求められる時代はない。日本の中小企業の技術力は、世界でも高い水準にあることを改めて見せ付けられた思いだ。日本各地の『近所の工場』が世界に羽ばたく日もそう遠くはないのではなかろうか。(新潟・HT)

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