コラム

2010/10/28

トップと現場と(埼玉・OA)


▼「全軍を指揮するものが、弾のうしろで叫んでいては、勝つ戦いも勝てんよ」。この言葉にピンと来る読者もおられることだろう。機動戦士ガンダムで、地球連邦軍のトップに立つレビル将軍の言葉だ。戦っている将兵に伝われば、士気を鼓舞する上でも、効果的。ドラマ内でそれが伝わったのか定かでないが、考えさせられる言葉だ

▼階級(役職)が上がれば、とかく現場から足が遠のく。現場の状況というものが的確に把握できなくなる。前線での厳しい状況を理解せず無理な作戦命令に「現場を知らんのだ!戦場を!!」と吐き捨てる中尉。まさに、実施困難な状況での無理な命令。このような場面は、どのような職場、会社、社会の中でもあるものだ

▼実働部隊の長であれば別だが、離れて上に立つもの、またエリート街道をまっすぐ進んでいる場合の多くは、現場感覚が乏しい。たとえ現場出身であろうと、離れた期間が長いほど、現場との乖離が大きくなる。組織としては、判断を下す上層部と実際に動く部署で、その考え方が大きく異なるのは、致命的ではないか

▼トップから末端までが、同じ意識で動けば、大きな力を発揮する。中国は三国時代、劣勢ながら蜀を率いて大国魏と渡り合った孔明。魏への敵愾心は、将兵のみならず人民にまで浸透していたという。また、そうでなければ国力を落としてまでの外征を行うことはできなかっただろう。孔明も常に前線に立ち続けた

▼とは言え、組織は、上があって下の階層があるもの。現場の良い意見を吸い上げて、会社経営に生かす。現場の人間にはこれこそ求められるトップの姿ではないだろうか。(埼玉・OA)

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