コラム

2010/11/25

続けたい草の根運動(東京・UT)


▼過日、全国建設研修センター広報室長の緒方英樹さんにお会いした。緒方さんは『土木の絵本』の執筆・編集者。この本は、子どもたちに土木の仕事や役割を理解してもらい、興味を持ってもらうために発行した。絵本ならば、子どもと大人に繰り返し読んでもらえるという点に着眼したという

▼『土木の絵本』は、「水とたたかった戦国の武将たち」(武田信玄・豊臣秀吉・加藤清正)など全5巻。8年前に発行を終えているが、現在でも同センターのホームページで見ることができる。ちなみに第4巻「近代土木の夜明け」は、大成建設が映画化。平成13年度のキネマ旬報文化映画部門1位に輝いている

▼発行当時、国土交通省の大石久和技監の協力も得て、全国の公立小学校約2万4000校に配布した経緯がある。活用希望校には最大40冊(1クラス分)を追加で配布した。活用希望校は、各巻平均2000校に及んだという。公立図書館や建設会社、一般市民からも反応があった

▼「武将としての武田信玄や豊臣秀吉は、社会で勉強したのでちょっと知っていたけど、読んでびっくりした。水の力を半分にしたり、堤防で止めたり、堀を使ったりするアイデアはすごい。私だったら思いつかない」。子どもたちの感想には、素直な気持ちが表れている

▼「コンクリートから人へ」「スーパー堤防はスーパー無駄遣い」といったフレーズの威力は認める。一瞬にして、「公共事業は無駄」といったイメージを刻みつけてしまう。それでも、土木をきちんと理解してもらう草の根運動を続けたい。土木学会でも、そういった機運が高まっている。(本社・UT)

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