コラム

2010/11/26

素晴らしき日本庭園(茨城・KK)


▼先日、所用で上京した際、明治神宮を訪れた。JR原宿駅からすぐの第一鳥居をくぐると、そこは若者で賑う街のざわめきから解放された別世界。深い森の奥からひんやりとした空気が漂う

▼面積約70ヘクタール、東京ドームの15倍の広さをもつ明治神宮の森。参道を歩いて行くと、さまざまな樹木に囲まれる。外界から隔離され、深山幽谷に入り込んだような気持ちになる。この大都会のオアシスは、大正時代、人間の手によって造られた人工の森だ

▼1912年(明治45年)、明治天皇が崩御すると、偉大な君主を追慕する気運が高まった。明治天皇と昭憲皇太后を祀るために1920年(大正9年)、明治神宮が創建された。初詣では例年日本一の参拝者を集め、横綱の奉納土俵入りもここで行われる。結婚式を挙げる有名人も多い。近頃では東京のパワースポットとしても注目を浴びている

▼庭園の歴史は古く、古代から世界各国でさまざまな庭園が造られた。西洋やイスラム圏では、中軸線をはさんで左右対称の配置にし、幾何学模様を用いた整形式庭園が一般的だった。対する日本や中国は自然風景をモデルにした風景式庭園である。18世紀初頭、イギリスで自然の美しさこそが最上とされる庭園洋式が確立され、その後ヨーロッパ大陸に波及した

▼ガーデニングという言葉に代表されるように近年、庭造りや庭園めぐりが人気だ。平等院や醍醐寺、厳島神社が世界遺産に登録されるなど日本庭園への興味が高まっている。庭園は自然を素材にした屋外芸術といえる。忙しい現代人にとって、日本庭園は今後も、心安らぐ、癒しの空間であり続けるだろう。(茨城・KK)

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