コラム

2010/11/27

需要と供給について(山梨・TH)


▼近頃の国産ワインブームで、山梨県産ワインの需要が高まりつつある。だが、その一方で甲州ブドウ自体の生産量は減少傾向にあり、問題になっている。木を切り倒し、同じ面積で倍近い収入になるピオーネや、巨峰など主に生食用への品種の植え替えが進み、その影響が出ている。そのほか、農家生産者の高齢化による後継者不足も要因の一つだ

▼山梨は全国200近くあるワイナリーの4割程度を占める。その多くは家族経営だ。ワインメーカーに勤務する友人のよると「県内産のワインは人気が高く、品薄状態になることも多いが、規模が小さくて消費者が求める量を提供できない。値段を高くしてしまうと売れない」などの矛盾もあるようだ

▼話は変わるが、今年の全国B級グルメの日本一を決めるB―1グランプリで、山梨の「甲府鳥もつ煮」が、ゴールドグランプリとなった。ところが、余りの繁盛ぶりで、鳥もつ自体が品薄状態のようだ。販売したくても出来ないという話も聞く

▼物の価格は、需要と供給で決まるもの。「売り手は高く売り」「買い手は安く買う」というそれぞれの思惑があり、互いが納得した価格になって、売買が成立する

▼政府が公共事業を大幅に増やすと、需要と供給の関係で公共事業に使われる物はインフレになる。公共事業予算が伸びている時期は、需要と供給のバランスが取れていたが、予算が減少すると、建設業界の中で供給過剰構造が随所に見られる。公共事業も「ワイン」や「鳥もつ煮」と同じ状況にあるのではないか。需要を拡大し、供給力を削減することが重要。しかしそれが、一番難しい。(山梨・TH)

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